新八受け

□こいのぼり
1ページ/3ページ

「土方さんに会いたいと言っている人が訪れているのですが」
「誰だ?」
「眼鏡をかけた少年です」



子供の日



眼鏡と聞いて出てくる人物は一人。

「新八か……」

内心、ドキッとして、何で来たんだ、アイツと思った。
いつもなら外の、人目のつかない所で会うのに、今日は屯所まで来て………。

「と、通してやれ」
「ここにですか?」
「あぁ」

不思議そうな顔をしながら隊士は戸を閉めて出て行った。

しばらくすると、失礼しますと言って、隊士が戸を開いた。
隊士の後ろには俯いた新八がいた。
表情はうかがえない。

「お前は下がってろ。あと、いっとき誰もここに近づけるな」
「は、はい」

隊士が戸を閉める。足音がだんだん遠くなってゆき、聞こえなくなる。

「土方さん……」

新八が顔をあげた。
淋しそうな顔をしていた。

「どうした?」
「誕生日、おめでとうございます」
「あ、ありがと」

新八は、残念そうな表情をしながら、微笑んだ。

「今日まで、知りませんでした」
「……………」
「ちょっと、悲しかったです」
「ごめん」
「いいです、別に」
「…………」
「…………」
「は、恥ずかしいんだよ」
「え?」
「今日、5月5日だろ」
「………?」
「真選組鬼の副長だとか言われてんのに、誕生日は子供の日だとかよ」

自分で言って恥ずかしくなった。
自意識過剰じゃねぇかよ、コレ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ