ペチュニア


いつも頑張ってるきみだから。
たまには力を抜いて、そう、目を閉じてゆっくりと。






久しぶりのゆったりとした時間。
学校のことや昨日見たテレビの話をしていたはずが、いつしかヤサコの返事が相槌だけになりそれもだんだん間延びしていき。
ベッドに背中を預けるようにしてヤサコは寝てしまった。


「僕も一応、男なんだけどな…」


安心してくれてると思えばそれはとても光栄だけど、男として見られていない気もして複雑な気分だ。

スースーと寝息をたてるヤサコにそっと近づき頬を撫でる。


「起きないと襲うよ…?」


そう言っても全く効果はなくて。解ってはいたけどなんだか悔しくて唇を落とす。
それでも眠り続けるヤサコに肩をすくめた。


まあ最近忙しかったみたいだから、仕方ないか。
そう考えて立ち上がりかけっぱなしになっていた音楽を止めて、ヤサコを起こさないようにそっと隣に座る。


疲れているのも解るが、こうして二人でゆっくりできるのも久しぶりなのだから少しくらい我侭を言ってもいいだろう。
せっかくこうして一緒にいるのに離れているなんて勿体ない。


距離をつめ身体をぴったりと寄せてヤサコの肩に頭を乗せる。
ヤサコの肩は細くて柔らかくて、こんな細い肩で頑張っているんだと思うとなんだか胸が締め付けられた。


「僕は、ヤサコを支えられてるかな」


ヤサコの肩に頭を支えられている状態で言う言葉ではないかもしれないけど、とハラケンは苦笑した。

ヤサコの首筋からは甘いいい匂いがして、うっとりと目を閉じれば途端に訪れる眠気。


それに逆らうことなく、ハラケンは意識を放り出した。






◇◇◇





眩しさに目が覚める。
窓から差し込む夕日に随分寝てしまったようだ。記憶にある太陽は確かまだ高い位置にあったはずだから。

そこまで考えて右肩が不自然に重いのに気づく。
ベッドを背もたれにして寝ていたヤサコの肩にこてんと乗せられた頭。

規則正しい呼吸に、ハラケンもまた眠ってしまったのだと知る。


今日は休日。京子も友達と遊びに行ってしまっていないからとヤサコ部屋でふたりのんびりと過ごしていた。

最近急に暖かくなってきて、二人で雑談をしているうちに春の陽気に誘われるようにして眠ってしまったヤサコ。
BGMにかけていた音楽が止められているところをみると、寝始めたヤサコに気づいたハラケンが切ったのだろう。


……それにしても、なぜ、こんな状態になっているのか。



「…ん……」


もぞりとハラケンの頭が動いて髪がヤサコの首筋をくすぐる。
くすぐったさに思わず身をよじるとそれが決定打となり、ハラケンが目を覚ました。


「ヤサコ…?」


とろんとした目で間近で見つめてくるハラケン。跳ねる心臓を必死で押しとどめて、ヤサコはハラケンの髪を撫でた。

男の子なのにさらさらな髪を繰り返し撫でるうちにまた眠気が襲ってきたのか。
ハラケンはもう一度、さっきより深くヤサコの肩口に顔を埋めた。


「ハラケン?起きないの?」
「もうすこしだけ…」


寝心地が悪いのか身体の向きを変え、ヤサコの身体に両腕を絡める。
そのまま再び寝息を立て始めてしまったハラケンにヤサコは肩をすくめて抱きしめ返した。


夕飯まではまだもう少し時間もある。
京子が帰ってくるまではいいだろう。


目を閉じてハラケンの呼吸に合わせれば。いとも簡単に眠りは訪れた。



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アイシクルのフジモリ様より相互記念に頂きました!!
甘々ですよ!ラブラブですよ!!凄い萌えたので無理言って絵に描かせて頂いちゃいました。素敵すぎるハラヤサありがとうございました(≧∀≦)ノ

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