番外編

□もう一つの帰還
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救命に着くとスタッフが総出で麗華の治療をしていた

「どんな状態なんですか?」

美紀も治療の輪に加わりながら状態を確認する

「CPA(心肺停止)だ 今CPR(心肺蘇生法)をしている所だが肋骨が肺と心臓に刺さっているから難しいだろう」

不覚にも美紀は固まってしまった 知り合いが しかもこんな身近な人物が瀕死の状態でいるのは初めてだったからだ

「片桐主任 大丈夫ですか?」

麗華の後輩が声を掛けてきて我に返る

「ええ 大丈夫よ 何をすればいい?」

「気に為さらず何時ものようにして下さい」

「分かったわ」

一度冷静になれば流石は外科の主任看護師だ救命の看護師でも舌を巻くほどの働きをする

だが 仲間の懸命の治療も実らず麗華は息を引き取った






麗華が事故に遭ってから三日が経ち今日は麗華の葬式だ

美紀は未だに麗華が死んだ事が信じられないでいた

「美紀ちゃん 今日はありがとうね」

美紀は麗華の母親に礼を言われた

「いえ 何も出来なくてすいませんでした」そう言って頭を下げると

「そんな事はいいのよ 出来る限りの事はしてくれたんだから」

そう言って美紀の顔を上げさせる

「おばさん 私これから勤務だから明日家の方に行ってもいい?」

「勿論かまわないわよ ゆっくり話しましょうね?」

「はい それじゃあ失礼します」

美紀は簡単な挨拶をして斎場をあとにした
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