□白の剣と黒の魔術
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下町の家の壁に寄りかかるように座り込んでいた少年。

まるで闇のような瞳と髪の持ち主は、行く宛てがないらしく、大人しくフレンが手を引くままについてきた。




それは人魔戦争から少し経ってからの話。















結界魔導器の外だと空が違って見える気がする。

まるで空気すら濁ったような息苦しさもあった。


「何なんだかなぁ」


牢を自主的に出てから、まさかこんな風になるとは思わなかった。


世間知らずのお姫様に加え、自称魔狩りの剣のエース、魔導器至上主義の子供、胡散臭いオッサンとクリティア族の女性。

いつの間にか旅を共にする者達が増えていった。


「……どうするつもりなのだ?」

「どうもこうもねえよ。しばらくは会い辛いだろうけどな」

ついてきたラピードの背中を撫で、ユーリは木の根元に座り込んで兄を見上げる。



デューク・バンタレイ。


10年前、人と始祖の隷長の戦いで人間側として戦ったが、帝国の裏切りで始祖の隷長側についた男。


そして、ユーリの実兄。


もちろん公にされる関係ではない。


しかしデュークは俗世を捨ててもユーリとは連絡を取り合っていたし、ユーリも兄を悪くは思っていない。

何も障害が無ければ仲睦まじく生活できていただろう。




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