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□魔法学園
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日本では二学期が始まる9月。
でも外国では9月が始まりの月。
ホグワーツへ向かう汽車のコンパートメントの1室にネクは座っていた。
この個室には他に誰もいない。
他の生徒は見送りをしてくれる家族達と挨拶をしているが、生憎ネクにはそんな人がいない。
ネクは日本から持ってきた本のページを捲る。
「ねぇ、この席空いてる?」
コンパーメイトの扉が開いた。
「……ああ」
他のコンパートメントは満席だ。
ネクは頷く。
少年がネクの正面に座る。
その少年の額に稲妻型の傷があるのが目に留まった。
「僕、ハリー・ポッター」
「ネクだ。ネク・サクラバ」
「サクラバ……?もしかして日本人?」
「ああ」
「英語、上手だね」
「得意だからな」
「いいなぁ……僕、成績悪かったらどうしよう……」
「まだ始まってもいないのにそんな心配するのか?」
「だって僕、魔法のことよく知らないし……」
「俺もだ。俺もマグルの環境で育てられた。そう不安になることないさ」
「……そうかなぁ?」
「ああ」
ネクは頷いた。
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