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□偽りの生活
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水晶玉と不思議な女性……グリューネを助けて?からセネル達は人食い遺跡を出ることにした。
1番後ろでセネルはグリューネの背中を見る。
「……おいおい……」
力を封じるのはいいが、記憶まで失ってしまうとはこちらも予想外だ。
溜め息をつき、セネルは頭を掻く。
それから手を口元へ運んだ。
「……ヴェイグか」
『こっちも動きだしそうだ』
セネルの耳にヴェイグの声が届く。
何が、とは聞かない。
聞かなくても分かるから。
「時の紡ぎ手が記憶を失くしてる。仕事が出来るかは不明だ」
『想定内とはいえ……。今はまだそれどころじゃないな』
「ああ。まずは水の民と移住者達の溝を少しでも埋めることが先決、だったよな?」
『ああ』
完全に埋めなくてもいい。
水の民が、陸の民のことを少しでもマシに思ってくれるだけでこれからの事は変わってくるのだから。
「セネセネ〜!何してんのよ〜!」
「今行く!」
ノーマにそう返してからセネルは小声でヴェイグに謝った。
「悪い、また今度な」
『ああ』
グローブに仕込んでいる超小型通信機を切った。
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