□悪魔の子 〜巻き戻った時間で〜
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「ティファ、いつもの」

「はいはい」

最早指定席となっている、カウンターの隅にクラウドが座った。

とたん青年の姿は消え、代わりにティファと同年代の少年が現れる。


先程の青年をそっくりそのまま若返らせたらこの少年となるだろう。




――――悪魔。



クラウドはそう呼ばれる種族の血を半分だけ引いている。


月の満ち欠けに呼応してクラウドの力は強まり、調子が良ければ先程のように姿を成人のものへと変化させることが出来るのだ。



だから、事情が知らない者が見れば兄弟とでも錯覚するだろう。



「あ、そういえばティファ。今度休暇が合えばあの人たち連れてきていいか?」

「ええ、待ってるわ」

「おっ。ってことは……」

「おっぱじめるってことか?」

バレットとシドが赤い顔でクラウドの両脇を固める。

「バレットこそ、大丈夫なのか?」

「もちろんだぜ! 目指すは平和的解決ってやつさ!」



反神羅組織「アバランチ」

ここはその本拠地。



だがバレットたちは他の反神羅のように暴力的な手段には出ない。

あくまで魔晄の危険性を言葉で説明しようとしている。

そしてクラウドやシド、リーブといったメンバーは神羅内部から協力者を秘密裏に募っていた。




まずは皆がミッドガルに集うまでが第一段階。

それは容易だった。


以前とは違いヴィンセントはすぐ出てきた……というよりクラウドとティファによって起こされ、ナナキに会いに行ったり、ウータイで大人しくしていなかったユフィにマテリアを奪われかけたり。

皆に戦いの記憶があるため、大人しくしていられなかったのだろう。

だがクラウドは神羅でコネを作るため、以前と同じように神羅の訓練生となるために遅れた。

それよりさらに遅れたのがティファだ。


ティファの父親が娘の出立を認めなかったのだ。


仕方なくティファは家出同然でニブルヘイムを出ている。


ちなみに、セブンスヘブン開店にあたってバレットが保護者となっていた。


第二段階にミッドガルに拠点……つまりセブンスヘブンを開店させ、協力者を募る。

リーブは神羅社員の中でも良識のある社員をリストアップ。クラウドも同僚たちの話に耳を傾け、仲間になってくれそうな面子を調べていた。


その中で外せないのがセフィロスの存在。

セフィロスが味方となるか敵に回るかで今後の展開が大きく違ってくる。


セフィロスがどうなるかはクラウドにかかっていると言ってもいい。


そしてクラウドにはもう1人、無視できない人がいる。


ザックス・フェアだ。


この作戦抜きで、ザックスとは友人になりたい。

だが人見知りするクラウドが、何も覚えていないザックスに声をかけることはできなかった。


片やソルジャー、片やひよっこの訓練生。


だというのに、ザックスはたった1度の任務で知り合ったクラウドに、持ち前の人懐っこさであっさりと「クラウドの友人」と言ってくれたのだ。

それから芋づる式にセフィロスや他の1stソルジャーであるジェネシスやアンジールと顔見知りになってしまった。



そして今度、そのソルジャー4人をこのセブンスヘブンに連れてくる。



まだアバランチのことは明かさない。

あくまでクラウドが常連の、幼馴染みが働いている店に案内するだけ。



何せ神羅を相手にするのだ、慎重になり過ぎることはない。







END
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