星の煌き

□時代遅れ?
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「なぁオッサン!カレーないのかカレー!」

「元旦だぞ元旦。大人しくおせち食ってろ」

羽狛は重箱を示す。

その中身を見て、ネクは眉をひそめた。

「……なあ羽狛さん。これ、おせちだよな?」

「それ以外の何に見える?」

「……だって、肉入ってるじゃないか」

確かにネクの言う通り、重箱の中には肉団子やら豚の角煮やらが入っている。

「それがどーしたんだよ」

ビィトが箸を咥え、首を傾げた。

「だっておせちだぞ。大晦日や正月に肉食べていいのか?」


「……あ〜」

羽狛は言いにくそうに、頭を掻く。

「フフフ……ネク君。昔と違って、今はそういう風習に捕らわれない人が増えてるんだよ」

「そ、そうなのか……」

ネクは腕を組んで首を傾げる。

「日本人はテキトーだからね」

「……それに、最近はおせちすら無い家庭も増えてるみたいだからね」

「え!?そうなの!?」

シキが驚いてヨシュアを見た。

「風習というものは時が経つにすれ廃れるものが多いのさ……」

「悲しいね……」

「ほら!今日は正月なんだからよ!そんな話はナシだ」

羽狛が奥から大きめの箱を抱えてやってきた。

「オッサン、何だそれ?」

「双六と百人一首だ」

「ダメだよサナエちゃん。ビィトに双六はともかく百人一首が出来るとは思えないよ」

「それもそうだな」

「ヒャクニンイッシュ?」

ビィトは首を傾げるだけ。

「ライムは知ってるか?」

「少しだけだけどね」

ネクの問いに、ライムは残念そうに言う。

「妹でも知ってることを……」

「私も完璧には覚えてないんだけどね……」

高校受験のためにはある程度覚えておく必要もあるだろう。

シキも苦笑を浮かべる。

「よし、今日はビィトのために百人一首をするか」

羽狛がテーブルの上に札を並べはじめる。

「ネク君は……当然できるよね?」

「当たり前だろ?」

ネクは笑みを浮かべる。

どうやらヨシュアとネクの対決になりそうだ。




END
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