空に消える夢
□疲れた1日
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何時間拘束されただろう。
セネルはマリントルーパーとして何度も仕事を請け、報告書を作成したことはある。
だがクロエもシャーリィもそんな経験があるはずもない。
「も、もうダメです……」
「腕が……。修行の後よりもキツいぞ……」
「あとどんだけあるんだよ……」
セネルも机に突っ伏した。
あんなにやったのに魔物の資料は減ってない気がする。
「どうした?もう終わりか?」
対してウィルはまだまだ元気だ。
「パパ、いい加減セネル君達を解放してあげたら?」
やって来たハリエットは手にお盆を持っていた。
その上には4人分のコップに注がれた紫色の液体が。
「……ハリエット、念のために訊くが、それは何の飲み物だ?」
「オレンジジュースよ。ハティが絞ったの」
「「「「(オレンジから絞った果汁が何で紫色なんだ!)」」」」
ウィルが動かすペンの音さえ聞こえなくなった。
「(あれを飲んだらHPが0になる……)」
「……なあ、せっかくだから休憩にしないか?」
「そ、そうですね!ウィルさん、外に行ってもいいですか?」
「そのまま逃げる気だろう」
「っ」
言葉に詰まるシャーリィ。
「さ、どうぞ」
セネルに紫色の液体が入ったコップが押し付けられる。
受け取ってしまったセネルはちらりとウィルを見た。
視線が痛い。
紫色の液体を見て、セネルは覚悟を決めて鼻を摘み、一気に飲み干した。
直後、セネルの意識は暗転した。
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