空に消える夢
□血塗れの手
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「ははっ、汚ぇ手……」
俺は宿屋のベッドに寝転がり、手をかざした。
何度も水で洗ったので汚れてはいない。
だが、その手は確実に穢れていた。
初めの頃あった嫌悪感は今でも消えない。
仕事をするようになってから手袋をするようになった。
それでももう……。
下町のニュースでは貴族の誰かが殺されたとかが口に上る。
「なあラピード。本当に俺といていいのか?」
当のラピードは床に寝そべり、動こうとはしない。
もう何度も繰り返したやり取り。
この手はすでに血塗れだ。
結界を出て別の街にも行って仕事をした事もある。
たとえ人に理解されない仕事でも、俺はやり続けるだろう。
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