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□悪魔の子 〜巻き戻った時間で〜
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ミッドガルのスラムに、その店はあった。
「セブンスヘブン」
軽食とちょっとした酒を出す店だ。
その店を営むのはまだ15程の少女。
ティファ・ロックハート。
ニブルヘイムから単身ミッドガルにやって来て、こうしてスラムで店を開いている。
料理も美味しいし器量もいいとくれば、たちまちその店は人気となった。
だがティファに手を出すともれなく本人から手痛いお返しが待ってるし、店のオーナーであるごつい男からキツい仕返しもついてくる。
その日、セブンスヘブンの扉には「本日貸し切り」と書かれたプレートが下げられていた。
「それでよ、その時のソルジャーの顔っつたらよ。見物だったぜ〜」
「そりゃ、テメーの運転が荒っぽいからだろ。空中で曲芸やらかされちゃあソルジャーでもビビッちまうぜ」
酒を酌み交わして騒いでいるのはシド・ハイウィンドとバレット・ウォーレスだ。
さらにはカウンター席で黙って傍観することを決めたヴィンセント・ヴァレンタイン。
……なのだが。
「ねー、そっちはどうなのよ。新しいマテリア、ない?」
ユフィ・キサラギに絡まれて迷惑そうである。
「……ユフィ。少しは付き合うオイラの身になってよ」
床に寝そべって、見た目は赤い子犬に近いナナキが抗議するが、ユフィは無視。
「ティファはん。あの2人がいて店、大丈夫なんですか?」
ネコのぬいぐるみであるケット・シーも思わず心配するバレットとシドの飲みっぷりに、ティファは苦笑した。
「一応多めに仕入れてるからね」
「しっかしよ、ケット・シー。本体は来ないのかよ」
「まったくだ。お前じゃ酒進めても意味ねえからな」
酔っ払い2人に絡まれ、ケット・シーが狼狽える。
「そんなこと言われてもな。今日は会議なんやて。それに本体でここに来るのが見つかったら何言われるか分からへん」
ケット・シーに命を吹き込んでいるリーブ・トゥエスティは神羅幹部の1人だ。
なかなか時間も取れないし、タークス辺りにここセブンスヘヴンでの活動を嗅ぎつけられたら厄介なことになる。だから普段はケット・シーがセブンスヘブンに来ているのだ。
「そんな事言ったら、アイツはどうなるんだよ」
バレットがそう言ったとき、セブンスヘヴンの扉が開かれた。
中に入ってきたのは20歳前後の、サングラスをかけた金髪の青年。
「クラウド!」
とたんにティファは笑ってカウンターから出てきた。
「遅かったじゃなーい」
「……同室の奴らがなかなか解放してくれなかった」
クラウド・ストライフ
それが青年の名であり、このメンバーのリーダーだ。
神羅の社員や一般兵、元工夫にウータイの少女など、境遇がまったく違うこのメンバーがどうしてこんなに仲がいいのかというと、彼らにはとある共通点があるからだ。
彼らは未来の記憶を持ち、その未来において仲間だったのだ。
今はまだ成長期前の少年がこの個性的なメンバーのリーダーとなるまで紆余曲折があった。
皆がこの時代に戻って来てしまい、自然とミッドガルに集まってからの目標はひとつ。
あの歴史を繰り返してはならない。
もう、あのような犠牲を出していいわけがないのだ。