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□悪魔の子
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自分はどこか異質だ、とクラウド・ストライフは幼いながらも感じていた。
それを強く実感するのは満月の夜。
1度、母親に聞いたことがある。
父親はどんな人だったのか、と。
すると母親は悲しげな微笑みを浮かべ、「優しかったわ」とだけ答えた。
母親がとても寂しそうに見えて、クラウドはそれ以上父親のこと訊くのを止めた。
軽々とクラウドはニブルヘイムの高い木の天辺に立つ。
そこの枝はとても細く、子供の体重を支えることが出来ないはずだ。
にも関わらず、クラウドはそこに立っている。
その前に、どうやってここまで登ったというのだろう。
今宵も満月。
天を仰ぎ、クラウドは笑みを浮かべる。
満月の夜には、血が騒ぐ。
クラウドの感情に呼応するかのように、クラウドの背中から翼が生える。
片翼の、悪魔の翼。
クラウドはただ、月を見上げる。
己の身と、これからの未来に思いを馳せて。
END