風吹き抜ける大地

□素直になれない
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ミレイはとても悩んでいた。

「う〜ん……」

かれこれ30分は悩んでいる。

「市販だといかにも義理って感じだし……。だからといって作るのもなぁ。本命と勘違いされ……てもい……いわけな……くもない……でもやっぱりなぁ……」

市販のチョコを買うか、それとも手作りのを渡すか。

それが問題なのだ。


市販の方が美味しいというのは分かっているが、やはり手作りなものを送りたい。

あからさまに義理だと思われたくないが、だからと言って本命と思われるのも癪だ。


ミレイと同じようにスーパーの製菓コーナーで悩む女性達。

ミレイも「恋する乙女」に見られているだろう。
「……よし!」

悩んだ末、ミレイは板チョコを数枚掴んだ。






買い物から帰ってきて以来、ミレイは宿屋の厨房に籠っている。

女将も理由を知ってるらしく、ただ笑顔で見守っていた。





『明日何の日か知ってる?』

「……バレンタイン、だったか?」

首を傾げ、レオはディアに答える。

『何だそれ?』

『女性が好きな人にチョコを送るイベントよ』

ディアがニュイに説明する。

今までそんな慣習とは無縁の生活だったから知らないのも無理はない。

『最近は友達にも渡すみたいだし、一概に好きな人とは言えないみたいだけどね』

「で、それがどうかしたのか?」

『別に〜』

そっぽを向くディアにレオは首を傾げるしかなかった。







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