風吹き抜ける大地
□もう1人の図鑑所有者
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「君に、これを授けたい」
オーキド博士から手渡されたものを見て、レオは目を見開く。
それは、レオとは馴染みがあり、また馴染みがないものでもある。
友人達が共通して持っているものだが、別段とレオは興味を示さなかった。
それが今、ここにある。
「……どういうつもりですか?」
レオは思わずオーキドの真意を疑った。
気のせいかオーキドの顔色は悪いように思えた。
「前から考えていたことじゃ。君にこれを授けたい」
もう1度オーキドは繰り返す。
レオはそれ……ポケモン図鑑を受け取ることができなかった。
「博士も知ってるだろう?俺の過去を」
レオの過去……それはスナッチ団として人のポケモンを奪っていたということ。
今でもそのスナッチマシンは手放せず、左肩に装着している。
「そんな俺に、ポケモン図鑑を預けるつもりか?」
他の図鑑所有者……レッドやグリーンとは違い、後ろ暗い過去を持つ自分には到底似合わないように思っていた。
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