空に消える夢
□いつか希望の時代で、君と
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この山を人が訪れるのは何度目だろう。嘆息をして、エドナはお気に入りの傘をくるくると回した。
霊峰レイフォルクにドラゴンが住み着いた。
そんな噂が生まれてからそれ程時間は経っていないように思う。だというのに人間たちは度胸試しや、自らの力量を誇示するためにドラゴンを見に来て……そして殺される。
流石に人間がむざむざと殺されるのを眺めているのは忍びなく、その度にエドナは間に割って入って人間たちを逃がしてきた。ドラゴンはエドナを狙おうとはしないから、逃がすことが出来たのだ。
今回もそうなるのだろう、と。
しかしエドナが駆けつける前に、決着はついてしまった。
気が付けばドラゴンが……穢れに侵され、理性を失っても猶妹を狙うことのなかった天族の成れの果てが、エドナの兄が殺されていた。
そのときのエドナの胸中は、兄を殺された怒りよりも……これ以上兄の苦しむ姿を見なくて済むという安堵だった。ただ、兄を殺した者たちの顔すら確認できなかったのは残念だったが。
それからエドナは兄がいなくなった世界で、兄との大切な思い出が詰まった霊峰で静かに暮らしている。
新たな導師スレイが訪れるまでは。
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