空に消える夢
□影の守り手
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プロローグ
血が流れすぎた。
このままでは失血死するのは確実だろう。
「(ひとまず、手当てを……)」
やけに重い体を引きずるように動かす。
普段なら人間ごときに負けるつもりはさらさら無い。
だが現在は意識を保つのがやっと。
「(どうする……)」
顔を上げると、人の街が目に入った。
どうやらいつの間にか街の側まで来ていたらしい。
それに気付かなかった事に苛立ちを覚え、人間に教われないように姿を変えた。
子供の姿なら人は警戒を持たないという。
まさか……この人の姿を10年以上取ることになるとは当時想像だにしなかった。
END