空に消える夢
□血塗れの手
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思えば俺はあの頃から少しおかしくなったのかもしれない。
10年前の、人魔戦争……。
誰が、俺があそこにいたと思うだろう。
フレンの目を盗み、街を抜け出して戦場にいた。
日帰りだなんて不可能のはずだが、なぜか俺には出来たんだ。
今では半日もあれば大陸内で1番遠い街まで行ける。
なぜか血が怖くないんだ。
むしろ興奮を覚えた。
そういえば戦場で面白い人がいたっけ……。
まだ生きてるのかな?
くつくつ笑うと、どたどたと喧しい足音がして扉が勢いよく開いた。
「ユーリ!大変だよ!」
やって来たのはテッドだ。
「どうしたんだよテッド」
「アクエブラスティアがまた壊れちゃったんだよ!さっき修理してもらったばっかなのに」
「はぁ?」
ベッドから起き上がって窓から下を見ると、確かに噴水が壊れていた。
ったく、どんな修理してんだよ。
要調査、だな。
もしかしたら、今夜にでも仕事を入れることになるかもな。
END