ことばたち

□この手のなかに
1ページ/1ページ

大それた望みがあるわけじゃない

突拍子もない願いがあるわけじゃない

          

ただ『ふつう』が欲しいだけなのに


想うことはいつも手のひらをすり抜けていく


どうして

         
どうして



呟く声はいつしか嘆きに変わる




どうにもならないとわかっていても、泣きたい時がある



難しいことをしたいわけじゃない


誰かを傷つけるわけでもないのに



『ふつう』を欲しがることは、ないものねだりなのかな






この手のなかに収まるもの


この手に掴みきれるもの


それだけが欲しい


他には何もいらない





この身体と手で抱えられるものは


どれほどのものか


『わかっているか』



問われたら、『知らない』と答えるけれど






手に入れる苦しさを 痛みを 熱を

辛さを 悲しみを


すべて受け入れるから




この手のなかにあるものだけで


生きていたい

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ