腐女子の図書室
□White Magic
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三井は、人生最大の大きな悩みを抱えていた。
やべぇ・・・どうしよう。
数ヶ月前、意を決して告ってようやく恋人になれた神に先月手作りのバレンタインチョコを貰ったまでは、良かったがその次の月のホワイトデーの存在をすっかり忘れていたのだった。
神は、あー見えて結構、イベントとか記念日とかを大事にするタチだ。
それに比べ、三井の方はというと、バレンタインのお返しを今まで一度もしたことがなかったし、付き合ってた彼女の誕生日すら忘れるほど、記念日には疎かった。
やっぱり可愛い恋人が喜ぶサプライズを用意したいって思うのが、オトコ心ってもんだ。
さて、何がいいだろうか・・・。
本当は、ゆっくり旅行にでも行きたかったが、神も部活があるし、三井だって3月の後半からは大学で部活が始まるのだ。そうのんびりも出来ない。
でも、何かしてやりてぇ。
(オレ、雪の結晶が見てみたいです。)
この前何気なく神がそう言ったのを、三井は思い出した。
雪の結晶かぁ・・・つか、3月って雪、降るっけ?
でも、神に見せてやりたい。
それに、今年は例年に比べ3月に入ってからもまだ雪がチラホラ降っていた。
山の方に行けば、期待できるかも・・・。
ホワイトデーには、ちょっとだけ早いけど、三井は善は急げと、徳男から車を借りて、神を携帯で呼び出した。