Event
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簡単なバックに、あの手紙と昔旅行で貰った地図を入れて、思い出の場所へ向かおうと、キーをとった。
彼女はいないと分かっているのに。
こんなバカな話、あるわけがない。
ありえるわけがない。
わかっているつもりだ。
死んだ人間から手紙が来る訳がない。
そう、綱吉は3年前に病気で死んでいる。
ただ、それでも僕は綱吉に会いに来た。
あの思い出の場所、それはどこなのだろう?
この町には思い出が多すぎる。
第一に思い出すのは、湖畔のあの公園。
何をするでもなく一日中湖を二人でただ眺めていた。
綱吉はそこにいるのだろうか?
本当に僕を待っていてくれてるだろうか?
彼女はいないと分かっているのに…。
でも何故だろう、行かなければならないんだ。
キーを指し、車を発進させた。
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