Boy
□慣れ
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「裏切り者には、死を…か…。」
分かっていたのにな。
ふっと諦めたように笑う彼のそんな、右手には、日本刀。
そして左手には、匣。
彼、山本武は、屋敷の中を走っていた。
まだ、昼過ぎなのに窓からの光はなく、外はどんよりとしていて、今にも雨が降りそうだ。
屋敷の中の空気も、じめじめとしていて重たい。
そんな中、鳴り響く銃声、爆発音、そして叫び声。
走るたびに、段々と近くなる音。
我がボスから命を受けた。
『裏切り者を、ここに連れてきてください。』
普段は、ボスには見えないくらいの笑顔で笑う親友。
キャラメル色のふわふわの髪の持ち主。
そんな彼が、淡々と言った。
あぁ、ボスって大変なのな。
と彼に呟いて、酒と共に笑っていたのは昨日の晩。
彼のためにも…。
走る速度を速める。
戦場は外。
段々と音は大きくなっていて、耳を塞ぎたくなるほど。
屋敷の中の重たい空気よりも、清々しい空気を望みながら外へ向かった。
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