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□『あげる』
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「沢田綱吉至急応接室。」

授業中に突如風紀委員長様から、漢字だらけの文章で呼び出しを食らった。

周りにいた生徒や先生は一斉に、呼び出されたツナを見つめる。

その居心地の悪さと、早く行けと目で訴えている言葉。

「すいません。ちょっと失礼します。」

カタン、と席を立って、教室から出た。
ドアを開け、閉めたと同時に後ろから聞こえる安堵のため息に、ツナは逆のため息を吐いた。












『あげる』












もーなんなんだよ、

ぶつぶつと呟きながら、階段を上る。
たまにすれ違う教師達は、早く行けと、いかにもな目で見つめてきて、段々と早足になった。



コンコン。


慣れた手つきで二回ノックをして、部屋の主の返事を待つ。
しかし、中々返事が返ってこなくて…。
ツナは、そーっと応接室のドアを開けた。











目の前に広がる光景。

普段は、忙しく立派な机に向かっている彼は、今日は違った。

いつも、山のように置かれている書類も一枚もなくて…。

そして、部屋の中心に置いてある、ふわっふわの来客用のソファーに横になっていて、眠っている主。
開けられた窓からは、暖かい春の日差しと風が流れ込んでいて、廊下よりも暖かかった。

「雲雀さん」

小さく呟いて、寝ている彼の隣に座る。
黒い、ツナにはとても羨ましい、雲雀の髪を撫でた。
普段なら起きる彼は、まだ寝ていて。


疲れてるのかな?


と疑問に思うほど。


教室には、帰れないし…
見守ってよう。

ツナは、そう思いソファーに寄りかかって彼が起きるのを待っていた。











とても甘い、甘い匂いに誘われてツナは、目を覚ました。

目の前のテーブルには、煎れたての紅茶が、そしてケーキ、クッキーと沢山のお菓子が置いてある。

どのお菓子も、凄く良い匂いでツナは唾を飲んだ。

「おはよう。」

隣から、聞き覚えのある声で振り向けば、ツナの彼氏。

「これって…」

「お菓子。」

はい、とフォークに刺された苺を近付けられ、口に含む。

(見れば分かりますって、)

と思いながらも、もぐもぐと口を動かした。

「美味しい。」

「当たり前じゃない。」

僕が作ったんだから。
と、言いながらクッキーを口に運んだ。

「へ?雲雀さんがですか?」

「そうだよ。」


あ…あのひ…雲雀さんがお菓子作り!!??
てっきり、お菓子屋さんを一件抹消したかと…。

「す…凄いですねー。」

「綱吉、心の中の声も出てる。」

「アハハ、だって…驚きですよ。」

雲雀さんが、お菓子作りなんて…。


頭の中は、悪戦苦闘していて、トンファーで、色々と壊している彼で。

ふるふると、頭の中を想像を消して、タルトに手を伸ばした。


「誰に教えてもらったんです?」

問題はそこだ。
本を見て、分量を計って、本を見てと繰り返してうんうんと唸る彼は有り得ないと断言したい。

むしろ、パティシエを脅して作らせるほうがあり得る。

そんなことを考えながら、紅茶味のクッキーを口に入れた。


「分からない?」

「?」

ごくん。とクッキーを飲み込み、再びチョコクッキーに手を伸ばす。
ひょい。っと口のなかに入れてもぐもぐと口を動かす。


…食べ慣れてる味?


「母さんから教わったんですか?」

ふと思い出した母の味。


「よく分かったね。」

よしよしと雲雀はツナの頭を撫でる。

「いつ教わったんです?」

俺の知るかぎりでは、母さんがそんな素振りを見せたことがなかった。

「綱吉が学校行っている間に教わった。」

「…い…いつの間に…。」

そういえば、最近家にケーキやクッキーが沢山あったな。
とか、ケーキの材料、母さん図っていたなぁ。
とか、今となっては思い当たる節が出てくる。

「今日がホワイトデーだからね、お返しだよ。」

…あぁ!!

と心の中で思い出し、ポンと手を叩く。

「ありがとうございます!!うれしいですよ!!」

ティーカップを持ち、笑顔で礼を言った。

「あっ綱吉。」

そう言えば…と、言いながら、ツナが持っていたティーカップを取り、置いた。
そして、にやりと笑った黒い笑み。
ずささっと、ソファーの端に後ずさる。

「綱吉から貰った分にはまだ足りないね。」

「え…あの雲雀さん?」

クスクスと笑いながら、雲雀は綱吉の上に多い被さった。
そしてポケットからリボンをリボンをするすると取り出して、ツナの首にリボン結びをした。

「完成。」













これが僕からのプレゼント。












補足しますと、雲雀さんは綱吉に愛をあげるという臭いことをしました。

そして、…四月に入ってしまいましたね。
3月じゃないです。
…まぁ…遅くなってすいませんでしたー。

まぁ週一の更新頑張っております(ノд<。)゜。
駄文で、痛いですが…。

20090403 Sayo.T

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