Boy

□『景色』
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「「「動くな」」」


が、突然男達の声がして中年の男の手が止まった。


『なっ‥』


一瞬のことだった。

男の首元には刀、鳩尾にはトンファー、後ろにはトライデントを持った人が構えていた。


「そのまま動くとどうなっか、分かるよな?」


日本刀を持った雨の守護者、武は苦笑いすると言った。


「10代目になんて失礼なことしやがったんだ!!10代目!!止めは、俺がします!!」


ダイナマイトを構えた嵐の守護者、隼人が叫ぶ。


「まったく、ボンゴレに喧嘩売るなんて‥クフフ‥馬鹿じゃないですか?」


トライデントを構えて怪しく笑う霧の守護者、骸。


「ふん。綱吉、僕がこいつを噛み殺から。」


と、汚いものをみるような目でみている雲の守護者、恭弥さん。


男達がボンゴレの守護者だ‥と男が気付いたのは、遅すぎて、今は筋肉一本でも動かせば『さよなら』だ。

男はおとなしく、拳銃から手を離して床に落とした。


「さて‥形勢逆転ですか‥ね。」


俺は笑顔で、憎しみの顔にだんだん染まる男の顔をみて言った。


『でも、100人の部下からは逃げられないですよ?たった、5人じゃ‥。』


男は、動揺しないのか笑いながら言う。

が、彼は一つ間違いを犯した。


「誰が、5人なんて言いました?貴方が勝手に決めた数字でしょう?」


俺は笑顔で返し、続けた。


「骸、もう解いていいよ。」


「はい、ボス。」



そう言い、辺り一面が、がらりと景色が変わった。

ボンゴレ本部の広場の景色に戻ったのだ。

俺の周りには、守護者達が守るように立っていて、その後ろには現在館にいる全ての部下達。

勿論、皆無事に生きている。

前にいる男は、驚きが隠せないらしく、辺りを見回している。

見回していると、ふと彼の目が止まった。

そこは、積み上げられた沢山の死体の山。


『なっ‥、おまえらの部下は、全員俺の部下が殺したはず‥。じゃあ‥あれは‥?』


「全部、霧の守護者の幻術だったんです。貴方達が殺したのは全て貴方の部下ですよ。これで、貴方の逃げ場も道もありません。」


どうします?と、笑顔で俺は語った。


『そんな‥ドン・ボンゴレ‥。』


助けて欲しいのか‥。

だが、ここは裏社会。
昔、家庭教師が言うように、世の中そう甘くはないんだ。

俺は、笑顔で言った。


「大丈夫です。」


『ではっ‥』


命乞いをするなんて‥ボスとして失格だろうと思いながら続けた。


「すぐ、後を追わせるから‥。」


瞬間、俺は男の顔面を殴り肉の塊になるまで男を殴り続けた。

血の匂いが辺り一面に広がり、肉の塊の下からは、赤い液体が水のように土に吸収されていった。

まるで、この館の草は血を肥料にしているみたいに‥。








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