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□『忘れられない日』
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「ひ…雲雀さん!!??ちょっと、ちょっと痛いですっ!!」

「煩い。」



だんだんと春の日差しになりつつある二月の中旬。

しかし、そんな二月でも夕方にかけては寒くなる。

寒くなりつつある廊下でも、人がいればそれなりに暖かいのだが…。

その廊下は現在は、人がいるにも関わらず寒い。

それは、二人の人間のせい。

他の人間は、壁のようにぴったりとくっついている。

勿論、群れないように。









『忘れられない日』













「あの?」

「何?」

「なんで機嫌悪いんです?」

「悪くないよ。」

いやいやいやいや、機嫌悪いのバレバレだから、雲雀さん!!

教室から無理矢理、手を引かれて応接室に来てみれば、相変わらずのムスッとした顔。

怒っているのは、バレバレで。

でも心当たりがなくて…。

彼と向かい合ったまま、ずっと沈黙。

唯一聞こえる音といえば、運動部の掛け声と時計の針。

雲雀さんに何回聞いても、

「別に」

と、同じ返答を返すだけで、違う返答がこない。


もーなんなんだよ。


と、思っていても言葉には出来なくて。

時計の針の音がいやに大きく聞こえる。




「チョコ。」

「へ?」

違う言葉が、彼から出たと思ったら単語一つで…。


主語も述語もないし…。


と突っ込みを入れたくとも、機嫌の悪い彼の前では何も言えない。

彼の単語を考えてみる。


本当は彼がどうして、機嫌が悪いのか、という理由を知っている。

それを知らないふりをしている自分のことも気付いているだろう。

このまま、バレずに帰りたい。

祈るポーズは取れないので、兎に角頭の中で祈る。

「え?雲雀さんチョコ好きなんですか?」

しらばっくれて、自分のなかでは上手いであろう演技をする。













「はぁ…。」

あっ、ヤバい。

ってツナが思ったのは既に遅くて、背中につーっと冷や汗が流れる。

雲雀はやれやれ、分かっていないのか。とでも言いたそうな顔でツナを見た。

「今日、何の日か分かる?」

そりゃあ、分かってますよ!!


「…バレンタインデーですね。」

「当たり。」

再び沈黙。


「あ…あのですね、これには事情が…。」

「そんなの関係ないよ。」

で…ですよねー。

口には出来ないので、思うだけにする。

「なんで、忠犬達にはあげたのに僕の分はないの?」

見ていたのか…。

と、考えながら今朝の教室の出来事を思い出す。

「だ…だからですねっ!!」

「煩い。今は僕がしゃべっているんだ。」

ここでは、僕がルールなんだよ。

銀色のトンファーをちらつかせながら綺麗な笑顔を浮かべながら、彼は言う。


「でも、話します!!」

どん。
と高そうな机を叩き、ツナは言う。

「あのですね。雲雀さんの分も勿論作ったんですよ。」

だって、俺のか…か…

「彼氏。」

「だし。」

「ちゃんと言いなよ。」

「恥ずかしいんです!!」

「別に恥ずかしがることじゃ…。」

「と…兎に角、作り終えて勿論ラッピングしたんです!!」

「じゃあ、なんで僕の分はないのさ。」

「だから、もーちゃんと聞いてください!!」

「しょうがないね。」

話ながら、朝の風景が蘇る。

「朝通学時に、獄寺君や山本に渡して、そのまま歩いていたんです。けど、奴が出てきて奪って行きました。」


自分の目には何故か、彼に犬の耳と尻尾がついているような自称右腕と、にこにこと何を考えているか考え付かない野球少年に、日頃の感謝の意を込めて、チョコをプレゼントした。

あげている途中、電柱の影から、まさににょっと出てきて、別の袋に入っていた物を取り、クフクフと気持ち悪く笑いながら去っていった。

去りぎわに、

「お返しは、僕との婚約指輪で…。」

と、あの房を揺らしながら消えていった…。

だから、この出来事は思い出したくないですし、俺のなかに封印したんです。

自分では、きっと上手く伝えられた!!

凄いぞ、俺!!

と、心の中でガッツポーズをしながら雲雀に、感情を込めて説明した。

雲雀は、話が終わった後しばらく腕を組んで、考え込み、急にガタンと椅子を揺らして立ち上がった。










「ちょっと噛み殺してくる。」













「え?ちょっ、雲雀さんどこへ?」

「あぁ、ちょっと黒曜まで。」

「いやいやいやいや、ちょっとコンビニまでっていう距離じゃありませんよ。また、チョコ作りますから、ね?」

むっすーとしている雲雀の顔を見てツナはクスクスと口元に手を当てて笑った。


「さらに上の奴を作ってね。」

「はい、分かりました。」

なんか中学生らしいです、雲雀さん。
















…あぁぁぁ、遅れてすいません。
駄文ですいません。
微妙なオチですいません。
バレンタインデーは、ラブラブで…。
ちなみに管理人は、チョコを市販のチョコは滅多にあげず、手作りです。







おまけ。

「じゃあ…まずは、今日のチョコ貰うから。」

ガサゴソと、冷蔵庫から出してきたのはチョコクリーム。
しかもご丁寧に、既にホイップ状になっている。

「クッキーやケーキに使うんですか?」

きょとんと、疑問に思った事を言う。

「君に使うんだよ?」

即答。

「はい?」

「君に付けて食べるの。」

ほら、脱いでと言って雲雀はツナの服を脱がし始めた。

…。
俺…今日は学校泊まりかも…母さん。















食べられちゃいましたとさ★

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