短編小説
□雛祭り
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おかしい…
それは先ほどから感じていることである。
自分のライバル兼恋人であるサファイアは、いつも何かとつけてルビーの部屋にやってくる。(窓から)
そのため、彼女がいつでも入ってこれるように窓の鍵は施錠せず、そのままである。
なのに、昼過ぎとなった今でも彼女はやってくる様子がない。
さすがにおかしいと思ってはいるものの、自分から会いに行くことが出来ずにいたり、気を紛らわすために本を読んでいたが、視線はつい窓にいってしまい、集中できずにいた。
「一体どうしたんだろう…」
自分一人しかいないこの空間の中つぶやいた言葉は、やけにはっきりと聞こえた。