Story
□慣れないことは
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慣れないことなんかするもんじゃない。
僕は身をもって経験した。
:::慣れないことは:::
竜崎との手錠生活が始まって3日がたつ。
当然のことだけど、いくら鎖が長くたって手錠の端と端はつながっている。
…だったら、行動には気を付けるよね。
特に片方が人間とつながってたら。
竜崎はそれが出来ないらしい。
というかしないらしい。
何が困るって、竜崎がこっちのことを考えないで自由に動き回ることだ。
それも急に動き出す。
僕が竜崎に合わせて移動しないと引きずられてしまう。
っていうか手首を痛める。
おかげで僕は竜崎がいつ移動するのか、常に気を付けていなければならなかった。
…グンッ
「…わっ。ちょっとさぁ竜崎、移動するときは何か一言いえよって昨日から言ってんだろ」
「……移動します」
「動いてから言うな」
このやりとりも何回しただろうか。
僕はため息をつきながら竜崎について行った。
竜崎はソファに飛び乗る。
無駄に引っ張られたくない僕は隣に座る。
竜崎はつまむようにひとつの書類を上げると、僕を見た。