Story


□ありがと
1ページ/7ページ



「…月君、おはようございます」

「おはよ…ぶっ!?」



ホワイトデーの朝。

挨拶されて振り返ると…

竜崎の頭に猫耳がはえていた。





:::ありがと:::
(月視点)





「な、なにしてんの、竜崎」

「びっくりしましたかにゃー」



…目を見つめたまま真顔でそう言ってきた。

前から変わってるとは思ってたけど…

竜崎…ついに頭が…?

しかし猫背で前に屈むように座る仕草もあわさって、本当に猫っぽい。

…いや、しかし。



「う、うん、ちょっとびっくりした」



竜崎は目を伏せてちょっとだけ横を向く。

猫だ。猫竜崎。

多分世界で一番頭の良い猫だ。



猫だと思うと、自然と竜崎の頭に手が延びた。

見た目に反して猫の様にやわらかな髪を、

撫で撫で…って…

僕まで何やってるんだっ。



「りゅ、竜崎っ!早く用意して捜査始めないと」

「解ってますよ」



竜崎は難なく猫耳をとり、のっそりと顔を洗いに行く。

もう…なんなんだよ。

まぁ正直、…可愛かったけどさ。

…いや、変なペースに乗せられちゃ駄目だ。





捜査本部で、竜崎はいつものようにケーキを…

…ん?

…何個もの小さいケーキを、ちょっとずつ手で食べている。

指先にクリームが盛大についている。

それから口の横にも。

子供か。



「…竜崎、月君、少しの間ここよろしくお願いします」

「へ?…あ、あぁ、はい」



計った様に竜崎と二人きりにされた。

松田さんもようやく空気が読めるようになってきたか…

…って!!僕は何を…

あぁもう、今日はどうかしてるよ。

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ