Story
□ありがと
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「…月君、おはようございます」
「おはよ…ぶっ!?」
ホワイトデーの朝。
挨拶されて振り返ると…
竜崎の頭に猫耳がはえていた。
:::ありがと:::
(月視点)
「な、なにしてんの、竜崎」
「びっくりしましたかにゃー」
…目を見つめたまま真顔でそう言ってきた。
前から変わってるとは思ってたけど…
竜崎…ついに頭が…?
しかし猫背で前に屈むように座る仕草もあわさって、本当に猫っぽい。
…いや、しかし。
「う、うん、ちょっとびっくりした」
竜崎は目を伏せてちょっとだけ横を向く。
猫だ。猫竜崎。
多分世界で一番頭の良い猫だ。
猫だと思うと、自然と竜崎の頭に手が延びた。
見た目に反して猫の様にやわらかな髪を、
撫で撫で…って…
僕まで何やってるんだっ。
「りゅ、竜崎っ!早く用意して捜査始めないと」
「解ってますよ」
竜崎は難なく猫耳をとり、のっそりと顔を洗いに行く。
もう…なんなんだよ。
まぁ正直、…可愛かったけどさ。
…いや、変なペースに乗せられちゃ駄目だ。
捜査本部で、竜崎はいつものようにケーキを…
…ん?
…何個もの小さいケーキを、ちょっとずつ手で食べている。
指先にクリームが盛大についている。
それから口の横にも。
子供か。
「…竜崎、月君、少しの間ここよろしくお願いします」
「へ?…あ、あぁ、はい」
計った様に竜崎と二人きりにされた。
松田さんもようやく空気が読めるようになってきたか…
…って!!僕は何を…
あぁもう、今日はどうかしてるよ。