はなちゃん2

□初めてのお使い
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めっちゃ金持ちのくせに
一般の住宅に住むはなちゃんは、
ただいま、お使い中です。

隣にはめっちゃ金持ちでそれなりの家に住むエイムと、
うん、まぁ金持ちで道場に住むジョンファンもいる。

もちろん、はなちゃんの手の中には
イタチネズミもいた。

「ねぇ、何処まで歩くの?」

エイムは既に飽きていた。
ジョンファンはイタチネズミを狙っている。

イタチネズミを抱え直しながら
はなちゃんはメモを見た。

何やらへろへろの字で地図が書いてある。

「…あと、てか今どこ?」

「知るかよ…」

「はなちゃんもエイムもアホマスね」

大分悔しいが、
ジョンファンは地図が読めるようなので
先頭をきってもらった。

事の始まりは学校でビオが休んだことだった。

至って健康そのものに見えた彼は
意外にもそんなでもなかったらしい。

今日のお使いはそのビオに
お見舞いの品(ただのプリント)を届け、
帰ってくるだけの単純なものだった。

KPLBはどうした、と言いたいところだが、
彼はいま、フランスに帰っているのでいなかった。

はなちゃんの頭脳に
「KPLBは『キモイポジティブLONG TIMEうっざいババノーア』の略でしょ?」
という彼女の言葉が浮かんでくる。

いや、自分に罪はない、と、
はなちゃんは歩き続けた。

「ねぇー…まぁーだぁー…?」

エイムは本当に飽きているというか
むしろ行きたくねぇよバーカと言っているようだった。

「うるさいマスねエイム。もうすぐマスよ。ここら辺で…斜め?」

ジョンファンがうなる。
大丈夫かお前?とはなちゃんが首をかしげる。

でも、はなちゃんは口に出さない。
女の子だもん。なんちゃって。

「え?女じゃないマスか?」

「いや、そっちじゃなく…いいからそっち続けてよ」

大分恥ずかしい思いだったので
イタチネズミを抱きしめる頻度が多くなる。

「あったマス!ここマスね!」

ジョンファンの声に二人が顔を上げると、
そこには大きな洋館があった。
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