はなちゃん

□儀式
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「おまじないとか占いって信じる?」

さり気なく思ったことを呟くことの危険さに
今気がついた少女。

言葉を発した直後に
表情が固まった。

目の前でペンを握っていたもう一人の少女が
ぽかんとして見ている。

本を読んでいた少年は
まだ本を読んでいる。
本と言っても、絵本だが。

「何かあったの?はなちゃん」

はなちゃんと言われた議題提供した少女は、
俯きながら首を大きく振った。

「占い…おまじない…」

絵本を閉じ、少年は呟いた。

「エイム、はなちゃん」

少年の笑いはかなり不気味だ。
それはまるで変態のような笑顔。

「今日の夜、おまじないをやろうマス…」

始まりは、いつでも突然にやってくるらしいが、
自分の所為であることに怒りしか感じていないはなちゃんは
握った拳を開こうとはしなかった。




その日の夜。

上を見上げれば数え切れないほどの星。

その星達が
地面を歩くはなちゃんに笑いかけているようだった。

『絶対、君、馬鹿だよ。絶対、君、馬鹿だよ』

はなちゃんは悔しくなって
待ち合わせの神社に駆け込んだ。

その神社は、昔から変な噂が絶えなかった。

見かけない人がいたとか
昔見た偉人がいたとか
時には大きな牛蛙がいたこともあったらしい。

そんなところに行くのは、と、
かなり気が向いていないような
はなちゃんだったが、
その噂を信じているのは本当らしい。

さっきから執拗に牛蛙のいそうな所を
避けて歩いている。

神社の入り口に、小さな影が二つ
ぼんやりと見えた。

少しほっとした表情で、
はなちゃんはそちらに駆けていった。
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