はなちゃん
□夢で見た星
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「…頭痛い」
それが、その日のはなちゃんの第一声。
忘れかけられたはなちゃんの母、姫湖は
はなちゃんの顔をのぞき込むと、早速言った。
「おたまの気持ちが分かるのは凄いことだと思うわ。でもね、おたまは使われるべき存在だから気にしちゃ駄目よ」
何言ってんだこいつはとか思ったが、
「頭」と「おたま」を聞き間違えたことに気付くと、
さらりと流すことが出来た。
「頭がね、ズキズキするの…」
「…あたま?あぁ、頭ね。使用人さん、どうしましょう?」
吹き出すのを堪えていた使用人は
とうとう吹き出してしまったが、
それでも何とか姫湖の所へ行った。
「何でしょうね…。季節の変わり目だし…風邪かも知れません…す、少し様子を見た方が、良いのではないでしょうか…くふっ」
使用人は最後まで真顔になれることはなかった。
しかし、そんなことはミジンコほども気にしない姫湖は
「学校休んで一日寝てたらどう?」
と言った。
はなちゃんは使用人を見て笑いながら
小さく頷いた。
「えっ?またはなちゃん休みなの?」
エイムは不満そうな顔で定期入れを投げた。
定期入れは黒板の中央に描かれた円の
さらに中心に当たって落ちた。
教室中の歓声を浴びながら
エイムはジョンファンの元へやってくる。
「マス。なんでも頭痛で頭が死んでいるとか…」
いや、死んではいなくない?
エイム以外の同級生が一斉に思った。
「そっか…じゃあしゃあないね」
まぁ、こんなもんだよな。
と、同級生全員諦め、
そのことは話に出てこなかった。