はなちゃん
□テスト
2ページ/3ページ
こんにちは。
はなちゃん(あだ名)です。
今日はみんなが嫌がるテスト期間らしいです。
「らしい」っていうのは、
別に余裕な訳ではありません。
昨日までそれを知りませんでした。
いや、知ってたはずなんですけどね…忘れたんですよ。
混乱しているはなちゃんは、
誰に言うこともなく思っていた。
「はーなーちゃんっ!」
エイムがやってきた。
エイムは手に教科書を持っている。
「ここの問題がわからないんだけどさぁ、はなちゃんは解る?」
見せてきた引き算の問題に唖然。
『こ、こんなのやったっけ?』
はなちゃん六歳。
重度のアルツハイマー。
あるいは、ただの馬鹿。
「あ。それってこの前のでマス?これは普通に引けばいいですマスよ」
割り込んできたのは、日本語のおかしい小学生、ジョンファン。
「え?ホント?…あ!ホントだ!ジョンファンすごーい!」
なんて言ってみるけど、あまり興味のないエイム。
しかも聞いてさえいないジョンファン。
さらに訳がわからなくて深い心の奥底で「日本人は頭が悪いんだな」と、現実逃避するはなちゃん。
三人一緒にいるのをみていると、
初々しさの欠片もなくて涙が出そうだ。
「はーいみなさーん!テストしますからねー。机の上片付けてー」
がたがたと教室中がうるさくなるとき、三人はそれぞれの思いを胸に席に着いていた。