はなちゃん
□ある日の出来事
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今日も寒いですね。
と言ってる先生が可笑しく感じられるほど,
教室はとても暑かった。
今日もはなちゃんは大きなつり目で
何かを睨んでいた。
『01/10限定販売!!
たこ焼きまんじゅう30個!
売り切れ御免!
2:30から販売します』
というチラシ。
はなちゃんはフルフルと手を震わせながら顔を上げた。
『買いだな』
はなちゃんの目が
シマウマを見るライオンのごとく光り輝いた。
『2時半か…。というと今日は午前中で授業が終わるからそれから走っていけば…間に合う!!』
だが…と,
充血しかけた彼女の眼が捕らえたのは
「はなちゃーん!」
問題はこいつだ。
「今日は?今日は?何処かへ行くの?」
エイムはしつこく詰め寄ってきた。
エイムは毎日はなちゃんの後を
何も言わずについてきているのであった。
素直に言うとストーカー。
「そう言えばー今日たこ焼きまんじゅうが限定発売されるんだってー」
「…買うの?」
ちょっと希望を持ったのが
はなちゃんの間違いだった。
「えー?あんな庶民の食べ物,買うわけないでしょー。はなちゃん,大丈夫ー?まさか買うとか言わないよねぇ?」
はなちゃんの心は
イノシシに入られた畑のようになった。
「…い,行くわけないじゃん」
はなちゃんはうつろに答えたが,
行くという決意は変えていなかった。