-導くは魔法-
□願いは
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「…以上で報告を終わりにさせていただきます」
今日は例の事件
闇の書
の事についての話しだった
最後に主が"祝福の風"と名を改めた時に、私達は涙した
それくらい幸せで
それくらい嬉しかったのだ
それから、シャマル や
ヴィータ ザフィーラが来て話しが代わった
その事をただ思い出しては瞳をとじた
最近、私は気がつけば主を目で追いかけており、合わせないようにすれば身体が強張るばかり
そんな気持ち…
主に知られればきっと共に歩けなくなるかもしれない
だからこそ、怖かった…
見るつもりもないテレビをつけ、今はただこの気持ちにノイズをかけ、聞こえないふりをした
『お風呂出たで』
その声がし振り向けば、一気に心や頭のノイズは消えて…
「あ、はいありがとうございます、主」
少し遅れながら返事をするものの、私は主から目を離せなくなった
上気した頬
微かに濡れた髪
石鹸の良い香り
お風呂上がり独特の湿気による、キラキラと光る雰囲気
声を噛み、それを飲みこんだ
マズイ。と警報がなる
自分の意識が甘く揺らぐのだ。
すぐさま立ち上がろうとした瞬間…主に肩を掴まれていた
「…主?」
そのまま引き寄せられれば、先程と同じ体制でになってしまった。
起き上がろうとした体には主が触れており、体の動きを鈍くする
声を出そうとした唇は、小さく柔らかな指先が触れた
「…あ…、……」
危険。危険だっ!
「どうしたのですか…"主"?」
絞り出した声に返ってきたのは、願いと疑問を浮かべた言葉
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