君に捧げるレクイエム

□【第二夜・朋友 前編】
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旅人に連れは居なかった




たった一人で
山賊や猛獣がうろつく森の中を進んでいる



その背には大振りな剣があった





己の身丈と同等ほどの剣

それを背中に回して革のベルトで体に括り付け、荷物と一緒に背負っている




「‥‥またか」

暗緑色の衣服を時々
低木の枝に絡めとられ苦言を溢すその声は



低いけれども女のもの



その旅人は

レンは


ため息混じりに服を引っ張り、枝から離す




硬い枝は気まぐれに
こうして衣服をがっちりと絡めてしまうのだ



茂みなどに間違えて
足を突っ込むと‥‥‥


それは悲惨なことになる





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