君に捧げるレクイエム

□【第一夜・覚醒 前編】
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もうすぐ成人になるのだが
生まれついての童顔のせいで、
いつも5歳は若く見られる


日に焼けた茶髪に
二重の黒目
低い身長


これといって個性も特徴もない
その男は森の奥のある場所を
目指していた



100年近く廃棄されて久しい、教会跡地

風化の具合から
【遺跡】なんて呼ぶ者もいる



「なんで俺が‥」


自分にその教会から
今週末にある祭りの為の道具を取りに行けといった
村長の顔を思い起こして



「馬鹿やろーー」と、


心の中で叫んでいる。


この小心者の男は名を、
トキトと言った


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