連なる世界
□出会い/アペリとケリー
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あっさり退いた狼を見送り、姿が見えなくなってから結界を解除した。
改めて子供の方を向き、アペリは「大丈夫だよ」と言った。
震えていた子供はそっと頭を抱えていた手を下ろし、周囲を見回した。
「……あ、ありがとう」
「どういたしまして。
ボクはアペリ。君の名前、教えてくれるかな」
「ケリー」
人間より高い位置にある小さな耳が動く。
「どうして追われてたのかな」
「……おこらせちゃったの」
「狼を?」
「おとうさんが、でてけーって」
ケリーはしょんぼりしながら経緯を話した。幼く飛び飛びになる話をなんとか繋げて、アペリは大まかな事情を把握した。
ケリーの手をとり、問い掛ける。答えは分かる。しかし、あえて聞く。
「ケリーは、帰りたい?」
答えはもちろんイエス。
アペリはケリーの家まで同行することにした。