連なる世界
□シンフォニア!
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「で、乗っていい?」
「いいよ。周りが何か言ってきたら、俺からがつんと言ってやるから」
胸を叩いて自信満々ですね。あっさり船内へ案内されました。
甲板まで行く途中、丸めた紙の束を持った黒髪の青年に会いましたが、挨拶だけで特に会話はありませんでした。
「また厄介事を…」と、初対面でも分かる表情でしたが。
甲板に出る扉を開けると、
「おぉっ!」
港より少し高いので、少しだけ見晴らしが良くなってます。
『……ところで、これ、何の船?』
「貴族の趣味にしては質素だよねー」
豪華な船だったら選ばなかった訳ですが。
「そうそう」と、船長が思い出したように尋ねます。
「どこまで行くのか、まだ聞いてなかったね」
「あー……どこでも良いですよ。行ける所まで」
柔らかな笑顔で答えた旅人は、船出に丁度良い風を呼び寄せました。
――さあ、出航です。
終