連なる世界

□歌姫の呪い
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「――と、そこの、棚の上にあるやつも。ついでに」

 アペリが高い棚の上の段を指差し、注文する。
 店内を見回すと様々な植物や薬品が棚に並べられているのが分かる。
 大きな紙袋に買ったものを詰め、代金を払う。――とは言っても、実際に渡したのはこの国のお金ではない。

「来てたなら治してあげたら良いのに〜」
「幽霊は対象外。それに、歌ならそっちの方が得意だろ」
「そうだね」

 会話を聞いていると、まるで今までにも会ったことがあるような――考えているうちにアペリが戻って来た。店主が私に気付く。

「それ、猫か?」
「尻尾以外は普通の猫だよ」

 そう、尻尾以外は。
 なぜか私には生れつき尻尾が三本あった。
 店主がカウンターの向こうから出て来て私を撫でる。

「……奇形児だったんだな」
『……アペリ……この人、何?』

 違和感は言葉だけではなく、手の内側にもあった。
 ただの薬師ではない事だけ分かるけど……。

「彼はね、僕の友人」
「兄弟子だ」

 すかさず訂正が入る。

「同じ師から学び、別々の道を選んだ」
「一緒にいたら無敵なんだけどな〜」

 本気なのか冗談なのか、アペリの言動からは読み取れない。店主の方も微妙な顔をしている。
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