連なる世界
□鎖を消して……
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王様の気まぐれ思い付き。
民の抗議も耳には届かず、守らぬ者は牢送り。
「今度は多少痛い思いをしてもらうつもり」
家具にも扉にも、ほぼ全ての物が鎖で繋がれた大通りを抜けて、たどり着いたのは城門の前。
門番がアペリを見て声を上げた。
「い、いつかの旅人さんじゃないですか!!」
「はい。いつかの旅人さんです。
――君達もか」
門番の二人も足を鎖で繋がれていた。
足を持ち上げて不満を漏らす。
「もう、どうにかして下さいよ。こんな奴隷みたいな鎖……付けてみますか?」
「遠慮しとくよ」
アペリが門の通過を依頼すると、門番は快く通してくれた。
「みんな困ってるんだね」
小さくなる門番を背後に、アペリは呟いた。
「いっそのこと、みんな捕まっちゃえばいいのに」
『!?』
とんでもないことを言い出す。そうならない為に私達は今から王様に交渉しに行くのではないか。
「……ごめん。言葉って難しいね。
えっと……王様のお触れを守らなかった者は牢送りって言われてたでしょ。だったら国の人が一斉に鎖を外したら――」
牢には入り切らない。収拾がつかなくなる。
入ったとしても、民が全員牢の中では国として成り立たなくなる。
「耳に届かないなら、別の方法で伝えればいい。
気に入らないなら従わなければいい」
『アペリお得意の《皆で渡れば怖くない》だね』
「そう」
話している間に、王様のいる部屋の前まで来た。
扉に手をかけ、ゆっくりと力を加えていく。
重たい扉が鎖の音と共に開かれる。
「さぁ、本人にぶつけに行こう」