短編・詩

□天使の歌
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  『天使の歌』


 明るい日の差す鳥籠の中。
 ひとつの音に反応して歌う鳥。
 その中に一人、翼も無く、歌いもしない鳥がいた。

 彼女の名前はドゥンケル・ハイト。
 烏のような黒い髪と、深緑色の目を持っている。
 声が出ない訳ではない。話すことは出来るのだから。
 ただ歌わない。

「歌わなくちゃ、貰い手がいなくなるのにね」

 周りにいる鳥が囁き、笑う。

 実際、歌の綺麗な鳥から貰い手が決まっていく。
 ハイト以外は皆、誰よりも早く貰われていこうと日々歌声を磨き、自分を磨いた。

 それでも、何と言われようと、ハイトは一瞥くれてやっただけで視線を戻す。
 真っ直ぐ前だけを見て、彼女は媚びる事なく、信じられる人を待っていた。




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