連なる世界
□鎖を消して……
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じゃらじゃらと
音を重ねる 鎖たち
その地で一番に目にした物は、道を埋めるほど多くの鎖だった。
街の人はみんな、身体のどこかしらを鎖に繋がれていて、重たそうに歩いていた。
どこからともなく現れた一人と一匹に気付いたのは、足に鎖を付けた男性だった。
「やあ、また来てくれたのか」
初対面のはずなのに「また」とはどういう事だろう?
私が首を傾げると、首輪の鈴がチリンと音を立てた。
「ジスティは覚えてないんだ? たくさんの世界を回ったから仕方ないかもね」
そう言ってアペリはふと笑った。
男性に向き直り、握手をする。
「お久しぶりです、ロットさん。趣味の悪い流行りですね」
「こんな流行りなら是非とも乗りたくなかったがね」
「また彼の気まぐれですか」
まったく困ったものだと二人して笑っているが、二人だけ通じる話をされても何も面白くない。
『説明してよ。《彼》って誰? 《気まぐれ》って?』
私の問いかけに、アペリは一言で答えてくれた。
「王様のお触れだよ」
ああ、なるほど。現状の説明には十分だ。
アペリがため息をつき、背伸びをする。
「あ〜あ。懲りてないねぇあの人も」
周りを見回し、少々めんどくさそうな様子で「また僕が行かなきゃいけないのかな」とぼやく。
「少しは良くなっているかと期待したんだけどねぇ」
アペリは私を抱き上げて歩き出した。