Birth Day ―誕生日企画―

□君がいてくれて・・・
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「これ、大したもんじゃないけど・・・」

差し出された小さな箱。

秋丸は笑った。

「誕生日おめでとう。榛名」

「お・・・おぅ。ありがとな」

「榛名が、生まれてきてくれた日なんだよな。今日が」

「い・・・いきなりなんだよ!」

「なんとなく、ね」

「きもちわりいな」

「あはは」

つかみどころのない、人だと思った。

「なぁ、秋丸?」

「ん?」

「俺はさ、生まれてきてよかったのかな?」

「・・・・・・」

「中学んとき、いろんなやつらに迷惑かけたし」

「・・・・・・」

「隆也にだって、おまえにだって・・・」

「榛名」

言葉を遮り、秋丸は口を開いた。

「そんなこと、言うなよ」

「でも・・・」

「俺は、荒んでた頃の榛名を知ってる」

「・・・」

「あの頃は、本当に大変だったっけ」

「・・・」

「シニアに入って、隆也に会って、全力で付き合ってもらったろ?」

「ああ」

「それで・・・」

ふと、秋丸の視線は窓の外に移った。

「それで、お前は変わった」

夕日が最後の一筋を残し、消えた。

「武蔵野に来て、いろんな人の支えになってる」

「・・・」

「本当の、エースになっていろんな人の支えになってる」

「・・・」

「ちがうかな?」

「・・・秋丸」

「なに?」

「・・・ありがとな」

榛名の頬に一筋の涙が伝った。

「どうしたんだよ?榛名」

「・・・おれは・・・」

「泣くな、榛名。俺がいるから」




腕の中にある温もりを

手放したくないと思った

大きくて強いようで

脆くて小さい

目を離すと

すぐに壊れてしまいそうで

いつも

いつも

不安だった
でも今は

大丈夫だ

と 思った



俺が、全力でおまえを守るよ

榛名








END

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