◆ BOOK ◇

□茜色
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あの任務のあと、カカシは病院から退院して再び任務についた。



見事その任務は成功し、カカシの前の失敗は皆の頭から消えて、汚名返上といったところだ。






病院を退院したとき、病院の前で待っていてくれた里の人たちを見て、黒夢がカカシにかけてくれた言葉がカカシは嬉しくて今でも思い出す。



『ほら見ろよ、皆御前のこと悪く思ったりしてないだろ?心配しすぎなんだよバーカ。大体暗部の奴等がなんとも思ってねーんだから大丈夫だろ?』



その何気ない言葉の中に入った黒夢の気遣いが、今のカカシにはとても嬉しいのだ。






今日はカカシも珍しく何ヶ月かぶりの休みだった。


かといって休みの日にすることもなく、外の方をぶらぶらと歩く気力もない。



「はぁー…前の休みって、オレなにしてたんだっけ」



つぶやいてみるものの、おおかた今と同じ状況に悩み、あっというまに休みを無駄にしたのだろうと見当は付いていた。




秋の心地よい風が窓を吹き抜ける。



((読書の秋か…―――))




そう思うと引き出しから一冊の本を取り出す。去年までは読めなかった一冊だ。先月やっと18になったカカシは『誕生日プレゼントだ。』と、どこから現れたでもない自来也に貰ったのだ。




ペラペラとページをめくる。



「……なんだ、こっち系のR18か。……」



パタンと本を閉じ、ゴロンとベッドに寝転がる。


ボーッと天井を見ているとなんだか眠くなってくる。


襲ってくる睡魔を払いのけてカカシは台所へと向かった。



徐に冷蔵庫を探る。任務で他所へ飛びっぱなしだったカカシにとって、冷蔵庫の中に何かがあるほうが不自然だった。



「やれやれ、やっぱなんもやることないのね」



ブツブツと独り言を呟きながら冷蔵庫の扉をやや乱暴に閉める。



その後も、スペースだけ無駄にあって特に物など置いていない部屋の中をぐるぐると彷徨い、挙句の果て、またベッドの中に戻るのだった。


「誰か友達に休みの人が――」


そういってカカシは苦笑した。ベッドにバタンと倒れ、溜息をつきながら言う。



「友達…かぁ。…俺、どれくらい人と触れ合ってないっけ」




そう思うと、連絡を付ける気も失せた。



ただ、昔のことに懐かしさを感じる。


友達と泣きあったり、笑いあったり…そんなことを思い出しながら枕に顔を埋める。



((まぁ、少しくらい横になるか))



よほど疲れていたのか、カカシが寝付くのに、そう時間はかからなかった。





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