◆ BOOK ◇

□満月の夜に―
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深い夜の空に血の匂いがする―…




カカシの今日の任務は、暗部としての単独任務で他の国の大名を暗殺するという簡単なものだった。


だが、その大名というのが自分の命を失いたくないがために木の葉からその国に一本しかない来る道を少しばかり改造していたのだ。





【・・・案の定迷っちゃったよ・・・】





迷路のように沢山の道が繋げられたその場所は、元の道が一本なんて考えられないほど広く、複雑なものだった。



それに加え、大名が雇った護衛の者たちがぞろぞろと出てくる。


只でさえ道に迷って困っているというのにこの敵の数、大名を暗殺する前からヤル気が失せる。




「こりゃ、ちょっとヤバイかもな…」




さきほど、カカシは敵に腹を切りつけられていた。


ヤル気のなさの所為か、どこか油断をしていたようだ。


ズキズキと傷は痛み、血が滝のように滴り落ちる。


すると、またも道が二手に分かれている。


「・・・今度はどっちだ・・・」


迷いつつ、とりあえず忍犬に探ってもらおうと思い、口寄せをする。



「口寄せの術―」




―――ボフンッ!―――




すると、ちょこんと小さいパグ犬が出てくる。


パックンだ。


「パックン、どっちがホントの道だと思う?」



とりあえず単刀直入に聞いている。


このとぼけた感じは、この血の海の光景にあわせ、重症を負った人間が言うには、まさしく合わないといえる。



「・・・・・・そーだな・・・コッチだ。」



はじめこの光景と、カカシの傷を見て驚いたのか、少し動揺してから鼻で左を指す。


「ふぅ〜ん。右かと思った」


そういういい加減なことをいい、場をなごませたと同時に、パックンを呼んでよかったという思いがカカシの中で膨らんだ。




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