■novel


□夏色
2ページ/5ページ

「なんでぇ、剣心にはそれがわかるってのか?」

「拙者だけではござらん。きっと左之にもわかるでござるよ。」


うぅ〜ん…と、左之助は首を捻り一生懸命考え出した。

その姿を見ていた剣心は、ふっ、と微笑んで左之助に言った。

「斎藤は、なぜ河原にやって来たのでござるか?」

「そりゃ、俺が斎藤に気づかなかったから怒って来たんだろ?」

「本当にそれだけでござるか?」


左之助は思いもよらなかった剣心の言葉に驚いた。


「斎藤は、左之が思っているよりもずっと、お主のことを気にかけているでござるよ。」


「え…。」


左之助は、剣心の方を振り向く。


「後は自分で考えるでござる。おぉっと、蚊取り線香をつけていなかった。すぐに持ってくるでござるよ。」


そう言うと、剣心は奥の方へと行ってしまった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ