■novel
□夏色
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「なんでぇ、剣心にはそれがわかるってのか?」
「拙者だけではござらん。きっと左之にもわかるでござるよ。」
うぅ〜ん…と、左之助は首を捻り一生懸命考え出した。
その姿を見ていた剣心は、ふっ、と微笑んで左之助に言った。
「斎藤は、なぜ河原にやって来たのでござるか?」
「そりゃ、俺が斎藤に気づかなかったから怒って来たんだろ?」
「本当にそれだけでござるか?」
左之助は思いもよらなかった剣心の言葉に驚いた。
「斎藤は、左之が思っているよりもずっと、お主のことを気にかけているでござるよ。」
「え…。」
左之助は、剣心の方を振り向く。
「後は自分で考えるでござる。おぉっと、蚊取り線香をつけていなかった。すぐに持ってくるでござるよ。」
そう言うと、剣心は奥の方へと行ってしまった。