■novel
□夏色
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その夜―――――
「う〜ん、左之は1回、相手の立場になって考えてみた方が良いのかもしれぬよ。」
左之助は今日の斎藤との出来事を剣心の元へ相談にきていた。
「相手の立場?」
左之助は団扇を片手に剣心の横にちょこんと座って話をきいている。
「そうでござる。」
「相手の立場って言ったって斎藤だぜ?あいつが何考えてるかなんてわかんねぇよ。」
左之助は眉間にシワを寄せ、難しい顔をしている。
「っていうか、誰にもわかんないと思うぜ。」
「ははっ、確かにそうでござるな。」
剣心はニッコリと笑顔を見せた。
「けど、どんな相手でも、だれにだってわかる気持ちぐらいはあるでござるよ。」