BSR(novel)

□華<アナザーストーリー>
1ページ/4ページ

あれから旦那と前田の風来坊は
密かにつきあうことになり
よく甲斐に前田の風来坊はやってくるようになった。


旦那の部屋に泊まることも少なくはない。


実はちょっと複雑だったりもする。

旦那が自分の気持ちに気づいた時、
何故か俺様の心がチクリと痛み出した。


自分は女の子が好きで
旦那のことはただ主人として好きだと思っていたから
正直とまどった。

だけど旦那の背中を押して
風来坊のところへ行かせた時は
ほんの少し後悔していた。

忍びに感情など
必要ない・・・・・。

ましてや愛情など・・・・・・。





____________


風来坊が泊まる日は
旦那の部屋の近くには決して近づかないようにしている。

旦那の悩ましげな甘い声が聞こえてしまうから。


俺様にとっては
毒でしかない。

あんな声を聞かされたら
いろいろ想像してしまって
まともに顔を見られなくなってしまう。


こんな弱気な自分にも嫌気がさす。

弱気になるなんて自分らしくない。




「佐助、佐助はおるか?」

朝一番、旦那の声が館中に響く。

「な〜に、旦那」

すぐにかけつける。

まだ寝巻きのままで
ほどけている髪がサラリとなびく。

それだけでドキリと胸の鼓動が跳ねる。



「今日は慶次殿と少し遠出をしてまいる。
弁当の用意を。」

「はいはい。
でも夕刻までには帰ってきてよ」


風来坊がいるなら
俺様はついていかなくていいんだよね。


つうか、
遠出先で二人がいちゃいちゃしている風景が目に浮かぶ。

「何故、佐助は来ないのだ?」

「え?だってお二人さんの邪魔しちゃうでしょ?」

サラっと言ってしまった。

旦那は最初意味がわからず
キョトンとしていたが
しばらくしてから意味がわかったのか
顔を真っ赤にしだした。

「な!!破廉恥な!!!」

破廉恥もなにも、
きっといい場所と
いい雰囲気になれば
風来坊も男なんだから
ことをしないわけがないでしょうが。



「そそそそそ・・・某はそんなことするための
遠出ではござらん!!」

夜中にあんなことしているくせに、
未だにウブなんだから。


「でも、旦那にその気がなくてもさ
風来坊はどうおもっているかな?
やっぱ好きな子が目の前にいれば
若い男なら・・・・」


俺だったらまちがいなく頂くね。

「もう良い!!佐助!!!」

クルっと背を向けて
部屋へと戻っていった。



正直な話をしただけなのに、
旦那には刺激が強かったかな?


___________


朝げをすませると
二人は遠出の支度をしていた。

「では佐助、行ってまいる」 

二人は馬を走らせて行ってしまった。

俺様は留守番。
それでいい。


一緒についていったところで
二人のいちゃいちゃぶりを見せ付けられるよりは・・・・・。



何故、他人にとられるまで
自分の気持ちに気づかなかったのだろう。

というより、
他人のモノになったからころ
大切ということに気づいたのだろうか?

あまりにも身近な存在だったから・・・・
気づけなかったのだろうか?




いつのまにか木の上で居眠りをしていた。

今日は他の部下の忍びに仕事を任せて
久々の休みをもらっていたから。


心地よい春の日差しに
そりゃ眠くもなりますって。

コクリコクリと眠気が俺様を襲う。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ