ショウセツ
□バレンタインデー
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2月14日。
バレンタイン当日。
愛しの景ちゃんは、いつチョコレートをくれるんやろかと朝から落ち着かない…。
こんなにソワソワしながら迎えるバレンタインは初めてや。
…が、
…無常にも、1時間目を告げる鐘がなる。
(まぁ1日は長いんやしな…。)
2時間目前の休み時間も、愛しの恋人の姿は無く…。
(休み時間は、短いからな…)
3時間目…
(景ちゃんのクラスは、移動教室やからしゃーないな…)
4時間目…
(景ちゃん、焦らすなんて意地悪な小悪魔ちゃん…)
そして迎えた昼休み。
(時間もタップリあるし、きっとこの昼休みに景ちゃんは…頬を染めながらチョコレートをくれるんや!)
何の根拠も無い自信を持って、昼食を取りに食堂に向かう。
どんな風に、くれるんやろ?景ちゃん。
…はっ。しもうた。景ちゃん、ああ見えてもこと恋愛に関しては、奥手で照れ屋さんなんや。
2人っきりになりやすいシュチュエーションに持っていきやすいよう、今日は食堂じゃ無くてパンでも買って部室ででも食べるようにせなあかんかったな…。
景ちゃん、気のきかない彼氏で堪忍な…。
「侑士…顔がにやけてて気持ち悪。」
結構な言われ方を、岳人にされても、夢(むしろ妄想)の中の住人と化した、忍足には聞こえるはずもなかった…。
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