カオス
□紳士の悩み
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「…困りましたねぇ。」
柳生は誰に言うでもなく、呟いた。
彼を悩ませているのは目の前の小さな紙袋。
もうかれこれ30分は見つめ続けている。
別に悩む事ではないのだが、いざ悩み始めてしまうとドツボに嵌ってしまうのは柳生の真面目さゆえ。
紙袋の中身は、単なるリボン。
先日、妹の誕生日プレゼントを買いに行ったときに衝動買いしてしまったもの。
…もちろん、柳生自身が欲しくて買った訳ではない。
そのリボンを見た瞬間、ある人の顔が頭に浮かび上がり、似合いそうだと、衝動買いしたものだ。
「何と言って渡しましょうか…」
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