ショウセツ
□手塚の憂鬱
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「当分…逢えない。」
突然、電話で突きつけられた言葉。
一瞬、何を言われているのか解らずに唖然としていた…
跡部は、何も言わずに電話を切った。
跡部…
俺は、お前が解らない。
跡部の気まぐれは、いつもの事だが…
今日のようなパターンは、初めてだった。
少なくとも、俺と跡部が特別な関係になってからは…
人の都合を考えないで、気まぐれで会いにくる事は、よくあるが…
「会わない」
と言うのが初めてだった。
この前、会ったときは、特に変わった態度もなかったが。
そう言えば、さっきの電話。
微かに、すすり泣いている様な音がした気がした。
あの跡部が…
泣くような事を、
俺は知らず知らずのうちにしてしまった…
と言う事か。
「チクリ」
胸が痛い。
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